トップメッセージ

2018年10月23日 更新

 江戸時代に誕生したかつての呉服屋は、時代の変化に対応すべく100年余り前に百貨店へと大きく変貌を遂げました。そうした当社グループの大丸・松坂屋が300年、400年の時を越えて持続的な発展を遂げてこられたのは、常に時代の変化を的確にとらえ、社会にとっての価値、お客様にとっての価値とは何かを考え抜き、社是の実践を通じた事業活動に愚直に取り組んできたことによるものであります。

 経営を取り巻く環境はいま、そうした時代以上とも言えるほどの「大転換期」を迎えており、凄まじいスピードで変化の途上にあるものと認識いたしております。AIやロボットの進化により、仕事や業務が自動化され、またIoTによってあらゆるものがネットにつながるデジタル社会は、この1年で急速に身近なものとなってきたように感じております。我々の生活や産業の仕組みを根本から変えつつあるものと実感いたしております。

また、「人生100年時代」といわれるように今後、長寿命化が一層進展することが見込まれる一方、日本の人口はある調査によれば50年後には9,000万人割れ、100年後には半減するとも言われており、これまでに経験したことがないほどの大きな社会構造の変化が迫りつつあるのが現実であります。

 さらに、消費の質はモノからコトへ、あるいは小売からサービスへと軸が移りつつあります。すなわち、百貨店など小売業を中心とした当社グループが、お客様の期待を超える新たな価値を創造し続け、さらなる発展を目指していくためには、小売業の枠を超えた事業構造への変革を進めていかねばなりません。

 当社は、“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する”という新たなグループビジョンのもと、今般の中期経営計画において、現状延長ではない「非連続な成長」に向け、経営の舵を大きくきりました。その過程においては、時間を経ても変わらない価値観は大切にしつつ、時代の変化、経営環境の変化を的確にくみ取り、プラスのリスクとマイナスのリスクの両面をしっかり捉えながら、伝統と革新を融合した、社会にとってなくてはならない新たな企業グループへの変貌に挑戦していきたいと考えております。

 そのためには、我々の意識を変え、働き方を変えることが不可欠であります。過去の成功体験や慣れ親しんだやり方にとらわれることなく、社内外のコミュニケーション深化を促し、異なる文化や考え方を積極的に取り入れることにより、多様性を活かした新たな成果につなげる「異分子結合」をはかってまいりたいと考えております。

 小売業の枠を超えた“マルチサービスリテイラー”としての発展に向け、「社会価値」と「経済価値」を両立し、事業ポートフォリオの抜本的な変革を通じて、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んでまいります。

 2018年6月
J.フロント リテイリング株式会社
取締役兼代表執行役社長
山本 良一