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2008年4月15日に東証ホールにて開催しました「平成20年2月期決算説明会」での代表取締役社長兼最高経営責任者 奥田務による経営説明を以下に掲載しております。なお、動画でもご覧になれます。
(1)2007年度業績の概要

先ず、「2007年度業績概要」についてですが、J.フロントリテイリングの正式な連結業績は、連結会計原則に基づき、大丸の年度業績に加えて松坂屋の下期業績のみを連結することになりますが、業績比較を分かり易くするため、両社ともに2007年度の年間実績に基づいて説明させていただきます。
JFR全体の連結業績は、増収、営業・経常・当期の各利益段階で増益となりました。 セグメント別の売上と営業利益に関しては百貨店事業が0.3%の増収で0.5%の減益、スーパーマーケット事業は2.3%の増収で12.3%の増益、卸売事業は5.3%の減収でしたが15.5%の増益、その他事業が6.4%の増収で12.7%の増益となりました。

大丸と松坂屋それぞれの連結業績では、大丸が増収、各利益段階で減益、松坂屋は減収ながら各利益段階で大幅増益となりました。
先ず、松坂屋は連結で減収でしたが、経営統合を機に主として経営の効率化とローコスト化の面で経営改革が急速に進み、販売管理費が大幅に圧縮され、加えて売買益率が向上し、その結果、営業利益は年間で対前年26.7%増、下期だけでは52.5%の大幅増となりました。
一方、大丸の連結での減益の要因は、百貨店事業の業績低迷です。営業利益段階では、百貨店以外の事業合計は増益でしたが、大丸単体が前年に比べて▲14.8億円減、百貨店事業では▲18億円減となったためです。
特に単体で売上が2.4%前年を上回ったにもかかわらず減益となったのは、先ず、東京新店・横浜店・浦和店3店舗の出店関連経費28億円などを中心に前年に比べて33億円の新規経費増があったこと。これに加えて、1月以降の消費環境が急速に悪化したことによる売上の予想以上の低迷と、婦人衣料を中心に高益率商品売上が低迷した一方で、低益率の食品の売上シェアが拡大するなど、商品別売上構成の変化による売買益率の低下が減益の大きな要因です。
その結果、営業総利益段階で対前年▲1.6億円のマイナスとなり、これに販売管理費が対前年13.2億円増加したため、営業利益は対前年▲14.8億円減となりました。
(2)2008年度の業績見通し

次に、2008年度についてですが、先ず、我々を取り巻く08年度の経営環境が経済や消費の低迷、競合の更なる激化など、ここ数年で最も厳しい1年になることを大前提に置きました。
今年度は、経営統合が本格的にスタートし、3月から順次、大丸と松坂屋のハウスカード、外商カードなどの運用面での共通化が始まります。そして、9月からいよいよ会計システムやMD及び顧客情報などの経営の基幹システムの統合、スーパーマーケットをはじめ建装事業・人材派遣事業の1業種1社への再編などがスタートし、統合を一気に加速させます。
営業面では、この3月から、大丸では第2次営業改革がこれまでの試行・成果検証の段階から、成果を実証し拡大する「第2ステージ」に入りました。一方、松坂屋では名古屋店・上野店・静岡店の全部門で営業改革が始まり、9月から全店舗に拡大します。併せて、すでに始まっている外商改革・後方業務改革への取り組みを拡大・強化します。また、9月にはこれらの経営諸改革と連動し、職務成果を基本にした新人事制度をスタートさせ、人事改革に取り組みます。
08年度の業績見通しは、セグメント別では百貨店事業の売上が対前年1.5%増・営業利益が350億円で2.7%増、スーパーマーケットは売上が1.9%増・営業利益が21.5億円で18.7%増、卸売は売上が2.6%増・営業利益が30億円で▲9.8%減となり、JFRグループの連結売上高は1.5%増の1兆1950億円、営業利益は0.9%増の430億円と増収・増益の見通しです。
尚、百貨店事業の大丸単体は2.3%の増収ですが、今年度は前年に比べて約40億円の新規経費増が発生する影響で、営業利益は177億円で対前年8.5%のマイナスの見通しです。
一方、松坂屋単体は売上が0.2%増のほぼ横ばいですが、経営の効率化とコスト構造の改善が続き、営業利益は104億円で31.7%の大幅増益を計画しています。
以上が業績予想ですが、とりわけ経費見通しについて補足しますと、08年度は前年に比べて、統合及び経営改革の推進効果や新店効果などが見込める一方で、統合や出店を中心に本年度に一時的に発生するコストが大幅に増加します。
具体的には、東京新店・浦和店などの出店関連経費増が前年比では年度一巡するまで続き、年間で18億円増加するほか、カード関連費用で27億円増、大丸・松坂屋両社のPBO負担増が9億円、同じく制度変更による減価償却費用増6億円のほか、スーパーマーケット事業での出店費用9億円、情報システム統合で5億円など様々な分野で前年より合計で約100億円もの経費の増加が発生します。
そのため、08年度のJFRグループ全体の販売管理費は対前年で約60億円増加する見込みです。
このようにJFRグループにとって、この1年は統合や出店などに起因する大きな経費増が予想されますが、グループが一丸となって増収とその他経費の削減努力によって多額の経費の増加を出来る限り吸収していく考えです。
(3)2008〜2016年度「フロンティア21プラン」

次に、2008年度〜2016年度までの3期9ヵ年の中長期にわたる経営の方向性を示した“フロンティア21プラン”について簡単に説明します。
JFRグループは企業運営の基本を「マーケット対応力の強化」と「生産性の向上」に置いて「持続的な利益拡大を伴う成長」を図り、一刻も早く名実共に「百貨店事業を核とした質・量ともに日本を代表する小売業界のリーディングカンパニーの地位確立」を目指します。
そのため、ビジョン達成に向けた重点施策として、(1)店舗レベルで営業利益率7%の新百貨店事業モデルの構築、(2)大都市圏における店舗の大型化、新鋭化の推進、(3)アライアンスの強化や新規事業の開発による事業領域と規模の拡大などに取り組みます。
《2008〜2010年度の第1期》はJFRとしての経営統合型の完成、及び、第2期での飛躍的成長を確実にするため「成長基盤を充実・整備するステージ」として位置づけます。
《2011〜2013年度の第2期》は、2011年の梅田店増床、浜松店出店、2012年の東京店第2期増床、2013年を目標にした銀座店建て替えオープンなどを通じて飛躍的成長を図ります。
尚、銀座店については、JFRにとって最重要プロジェクトでもあり、事業計画や施設構成の検討などを専任チームを中心に鋭意進めていますが、取りまとめたプランを地元や行政との間で、ある程度の合意ができた段階で出来るだけ早く発表したいと考えております。
《2014〜2016年度の第3期》は、アライアンスの活用も含めて成長の柱となる新規事業展開や海外戦略の検討、都心大型店舗の建て替えによる新鋭化などに取り組み、更なる拡大・再成長を目指します。
これらを通じて、最終年度までにグループビジョンに掲げる「小売業界のリーディングカンパニーの地位確立」の実現と営業利益800億円を少しでも早く達成したいと考えております。
(4)「フロンティア21」第1期3ヵ年経営計画

次に、2008年度から始まった「フロンティア21プラン」に基づく第1期3ヵ年経営計画の具体的内容についてですが、業績数値目標は、連結営業利益を2008年度430億円、2009年度490億円、2010年度530億円としました。
2007年度から2008年度への営業利益の増率が低いのは先程説明したように統合や出店、カード関連などを中心に先行投資型のコスト増が2008年度に集中するためで、2009年度以降、その負担が軽減されるため、営業利益は順調に増加します。
また、2010年度連結売上高の対2007年度比が3年間で4%増としたのは、先程申し上げたように、消費を中心に我々を取り巻く経営環境を厳しく見ていることと、この第1期3ヵ年は第2期以降の飛躍的成長に向けて内部充実と基礎固めを優先するためです。
この3ヵ年に重点化して取り組む経営課題については3ヵ年経営計画資料にある通りですが、本日は特に(1)「経営統合の推進」、(2)「大丸の第2次営業改革、松坂屋の経営改革の推進」、(3)「関連事業の競争力と収益力の強化」の3つの経営課題についてお話しします。
《経営統合の推進》
先ず、「経営統合の推進」についてですが、JFRでは、両社が一体となって「全体最適」と「スピード」、「コミュニケーション」、「徹底実行」を最優先した効果的な統合推進と体制づくりを目指しています。
統合を進めるに当たって、制度・仕事の仕組み・システム・組織など業務運営の基本を共通化することを最優先して取り組んでいます。この点で、統合は現在までほぼスケジュール通り順調に進んでいます。
特に、会計システムとMD及び顧客情報を中心に、9月から稼働する情報システムの共通化は、経営の効率化、百貨店営業力の柱となる商品力・販売サービス力の強化、固定客基盤の強化・拡大などに大きく貢献し、統合をよりスムースに推進するものと期待しています。
《両社の改革推進》
経営課題の2つ目は「百貨店事業で大丸は第2次営業改革、松坂屋は大丸が構築した経営モデルの定着を目指した経営改革の徹底推進」についてです。
百貨店事業における両社の当面の位置づけとミッションは、大丸が強い営業力とローコストオペレーション力を併せ持った新しい百貨店事業モデルづくりを行い成長性を追求する。
一方、松坂屋は効率性の追求に重点を置いて、大丸が構築した経営モデルの導入と定着を図り、確実に営業利益の拡大と営業利益率の向上を目指します。

大丸はこの3月から第2次営業改革の第2ステージに入っています。
3年前の05年にスタートした第2次営業改革の第1ステージでは、本社と各店の役割機能の再編を行い、本社は仕入れを中心にMDing機能に、各店は販売サービスを中心に集客と顧客管理機能に特化し、それぞれの機能の専門化と高度化を目指しました。
その際、特に重点をおいたのは、百貨店売上の8割以上を占める消化仕入れ売場において大丸が主体性を持ってMDingに関与して、売れ筋商品を常に適時・適量確保することでした。
こうした取り組みをほぼ全売場に拡大し進める中で、投入する労力に対して期待した成果が実現できるところとできないところが取引形態別・お取引先別に明らかになってきました。
これらの反省を基に、3月からスタートした改革の第2ステージではこれまでつくりあげてきたMDingオペレーションの仕組みを、効率的に成果が出せる取り組み体制に再構築しました。
従来の6つの売場運営形態別オペレーションを「自主運営、共同運営、テナント運営」の3タイプに再編し、各タイプ毎にお取引先との役割分担を見直しました。
特に、「テナント運営型」では、MDingに関与しても効果が期待できないお取引先とは、今後、販売計画や販売促進活動面に重点を置いた取り組みを強化し、売上拡大を図ります。
一方、PBや自主販売・編集平場などの「自主運営型」については当社人材を投入し、MDingの全プロセスに広く深く関与させ、他店との差別化と利益確保・人材育成を図るため強化・拡大をします。
「共同運営型」は、品揃えの3割程度を占める重点商品を中心に商品発注に関与していきます。
直近の3タイプ別の売上シェアと益高シェアは、前年上期の社内管理計算数字ですが、自主運営型は売上が19%、益高25%、共同運営型は売上が22%、益高26%、テナント型は売上が59%、益高が50%になります。
自主運営型は品揃えに独自性を発揮できる格好の売場であり、売買益率も高い反面、人件費を中心に高コスト運営になるため、MDingの精度が問われます。一方、テナント運営型は消化仕入れが原則で、売買益率が低いかわりに人件費を中心に当社の経費負担が軽減でき、しかも売上・利益共に構成率が大きい非常に重要な売場です。
こうした実態を踏まえ、今回、取り組み体制を再構築するに当たって、69名の人的配置の大幅な変更を行いました。共同運営とテナント運営型でBYとABY合わせて53名をMDラインから販売ラインの強化に配置転換し、自主運営型でMDラインに16名を増員しました。
これまでの改革を通じて、以上のように共同運営とテナント運営型における顧客満足と利益向上のための管理ポイントが明確になりました。今後は、それぞれの運営形態に合った効率的で成果の上がる取り組みを進めていきます。
特に自主運営型売場では、機能強化したマーケティング企画室と協働し、マーケット動向を先取りした提案性・独自性に富んだ新しい商品や売場、更にはサービスの開発や導入に積極的に取り組んでまいります。
また、その他の営業改革に関連する取り組みとして、札幌店で実証した効率的な店舗運営モデルを、既に導入を済ませた東京新店を皮切りに、今年度は京都店、次いで梅田店と順次、各店に拡大していきます。

次に、松坂屋の経営改革は、中核となる営業改革がこの3月に名古屋店、上野店、静岡店の全営業部門で取り組みが始まり、9月から全店舗に拡大します。
昨年下期から着手した名古屋店・上野店では既に成果が出てきていますが、徹底実行への松坂屋経営層の強い意志とリーダーシップ、大丸の第1次営業改革のノウハウの活用により、今期も着実な成果拡大が見込まれます。
この営業改革とこれから本格化する外商改革・後方業務改革、これらと連動した人事制度改革が加わることによって松坂屋の生産性と業績は大きな向上が期待できます。
これらの改革をベースに、大丸と松坂屋の両社は、マーチャンダイジング力、販売・サービス力をはじめとする“お客様に働きかける力”を徹底的に強化することで、百貨店事業の共通の課題である売上高・売買益率の向上による売上総利益の拡大に全力をあげて取り組む考えです。
《関連事業の競争力と収益力の強化》
最後に、3つ目の経営課題「関連事業の競争力と収益力の強化」についてですが、関連事業では、コアコンピタンスを明確にした競争力強化と収益力の向上を目指した事業再編と経営改革を進めます。
JFRはこの3月から、大丸と松坂屋の傘下にあった主な関連事業会社を直接子会社化しましたが、順次、これらを1業種1社を基本に再編を進めます。9月にはスーパーマーケット事業4社をはじめ建装事業4社・人材派遣事業3社を統合し、来年3月にレストラン事業2社を統合する予定です。
特に、収益性とグループシナジー性において大きな貢献と成長が見込めるスーパーマーケット事業、クレジット事業、建装事業、卸売事業の4つを重点事業に位置づけ、強化を図ってまいります。
また、関連事業の業績は、2007年度の連結営業利益は85.4億円で、重点4事業合計は72億円でした。これを2010年度には4事業で99億円、関連事業全体で112億円の達成を目指す考えです。