中期経営計画
Medium-term Business Plan
現・中期経営計画は2020年度で終了
当社グループは、小売業の枠を超えたマルチサービス・リテーラーを目指し、2021年度を最終年度とする中期経営計画を2017年度からスタートさせ、事業領域の拡大とともに、既存事業におけるビジネスモデルの転換に取り組んでいます。
事業領域の拡大では、2017年にラグジュアリー・モールの「GINZA SIX」、またオフィス機能を兼ね備えた複合商業ビルの「上野フロンティアタワー」を開業させ、現中期計画がスタートする前と比べ、不動産事業セグメントを飛躍的に成長させることができました。
また、クレジット金融事業は専門人材を積極投入することにより、中期的な成長に向けた経営基盤の強化が進み、その成長の鍵を握る「新カード」をこの秋に発行する準備も整いました。
既存事業のビジネスモデル転換では、昨年9月、これまでに類を見ない、ハイブリッドな百貨店ビジネスモデルとして「大丸心斎橋店本館」を開業させ、さらに11月には斬新なテナント・ミックスで幅広い顧客層にリーチすることを可能にした「新生・渋谷PARCO」をオープンさせました。
しかしながら、今般の新型コロナウイルスによる“パンデミック・リスク”だけでなく、消費増税を契機とした想定以上の消費低迷や、婦人服ボリュームマーケット縮小の急加速、また地方店衰退とともに都市部基幹店の競争力低下など、現在の中期計画策定時と比べ、前提条件が想定を超える「規模」と「スピード」で変化してきました。
そのため、2020年度は利益水準が大幅に低下することは避けられず、さらに一定の利益貢献を織り込んだ新規事業への取り組みも遅れるなかで、中期計画最終年度2021年度の利益目標達成は極めて困難な状況にあると言わざるを得ません。


現・中期経営計画の振り返り
主な取り組み | これまでの成果・進捗 | 課題 | |
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成長戦略 |
マルチサービスリテイラー(事業領域拡大) |
●育児領域への参入 |
●育児領域以外の新規事業の実現 |
アーバンドミナント(開発PJ) |
●再開発計画の推進 |
●大丸心斎橋店、渋谷PARCOにおける成功要因の基幹店舗への 波及 |
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アーバンドミナント(不動産事業) |
●不動産賃貸事業の拡大 |
●不動産事業のパルコ移管後の成長戦略 |
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ICT(守り) |
●グループITガバナンスの策定 ・ITガバナンス定義、方針、規定、細則の作成 ●セキュリティ強化体制整備 |
●IT専門人材の外部採用・内部人材育成 |
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ICT(攻め) |
●グループ統合顧客DB(LTS-Hub)の構築 |
●グループ統合顧客DB(LTS-Hub)の活用による成果創出 |
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百貨店事業革新 |
●店舗魅力化に向けた取り組みの推進 |
●既存店舗の新たな価値創造(顧客視点・インサイトを探求した次世代MD・コンテンツ開発) |
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パルコ事業革新 |
●店舗ポートフォリオ変革の推進 |
●既存店舗の新たな価値創造(渋谷PARCOの成功の各店への波及による店舗事業の改革) |
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基盤強化 |
コーポレートガバナンス強化 |
●グループガバナンス機能強化 |
●パルコの完全子会社化に伴う持株会社と事業会社の機能の見直し |
グループ財務戦略 |
●ROE達成に向け投資回収に対する意識改革 |
●ROE8%達成の資本政策、株主還元策の立案 |
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グループ組織人事改革 |
●専門人材の採用(41名うちマザー11名) |
●ITなど専門人材の採用・育成 |
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ESGへの取り組み |
●マテリアリティ特定、「サステナビリティ方針」「エコビジョン」「ソーシャルビジョン」など各種方針策定 |
●CSVへの取り組み |
2021年度から新・中期経営計画をスタート
一方、当社グループ自身にも“重要な転機”が訪れました。それは、連結子会社であるパルコの「完全子会社化」です。この「完全子会社化」を通じて、これまで成し得なかったダイナミックな事業構造変革への取り組みや、思い切った人財交流を行うことにより、スピードを上げてシナジーの最大化を目指せる体制構築への準備が整ったことは、大きなプラス要素であると考えています。
このような、外部環境および内部環境に大きな変化が巻き起こる中、当社が目指す真の「事業ポートフォリオ変革」を実現するためには、現状の枠組みで現中期計画をそのまま推進するよりも、新たな体制のもとで、長期を見据えた野心的な目標により方向性を定め、一層グループ力を発揮できる取り組みとしてバージョンアップし、再スタートすることが最善と判断しました。
そのため、現中期計画は2020年度をもって終了することとし、この2020年度は短期業績へのリスクを最大限に織り込みつつ、中長期視点で、より「高み」を目指せるよう、グループの“足場固め”に充てていきます。
なお、新たな中長期計画については、2030年のゴールをKPIにより定量的に設定する中で、まず来年2021年をスタートとする「中期3ヵ年計画」を軸に構成していくことを想定しています。