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人財戦略

Human Resources Strategy

基本的な考え方

当社は、2030年に目指す姿として、リテール事業を中心に3つの共創価値「感動共創」「地域共栄」「環境共生」を提供し続ける“価値共創リテーラーグループ”への変革を掲げています。未来を切り拓き、目指す姿を実現していくのは、当社グループの従業員一人ひとりの力に他なりません。当社は、従業員を最も重要な価値共創パートナーと位置づけ、一人ひとりのWill(意志・意欲、内発的動機)に寄り添いながら、会社と従業員が相互に支援・貢献することによって、共に成長していくことを目指しています。

<会社と従業員の価値共創の概念>

(1) 人財戦略の全体像

当社は、変革期と位置付けた今中期経営計画において、新たな成長パターンに転換するべく、積極的な人財投資を行い、将来の飛躍に向けた土台作りを進めていきます。具体的には、当社が過去、全社的な合理化施策によって成し遂げた利益成長という成功体験から脱却し、多様な事業を持つJFRグループとしての総合力を発揮すべく、「人財管理」から「人財開発」へ、「オペレーション指向」から「マーケット指向」へ、「個社最適」から「グループ最適」へ、人財戦略の転換を図っていきます。
「価値共創リテーラー」の実現に向けては、グループ共通の人事領域における基本となる考え方である「人財マネジメントポリシー」を策定するとともに、経営戦略に対応した人財ポートフォリオへの転換を図ります。さらに人事各領域にて実効性のある施策を実施し、人財戦略のアウトカムとして従業員エンゲージメントおよび一人当たり生産性の向上を目指します。

(2) 人財マネジメントポリシー

当社は、価値共創に必要な従業員の行動・マインド変革を進めるため、グループ共通の人財マネジメントポリシー「巻き込むチカラを、面白がるココロを。」を策定しました。本ポリシーを軸に、「自らのWillを原動力とする人財」「組織を越え、つながる人財」「仕事を楽しむ人財」の採用、育成、配置、評価などを実施していきます。

人事マネジメント

当社は、2019年度から、従業員が内包する目に見えない人財力(人財価値、性格、価値観、気質、志向・趣味)を可視化する、当社独自の「人財力主義」に基づく人事制度運用を行っています。この人財力主義に基づく人事マネジメントを継続しながら、業務遂行を通じて観察可能な知識・スキルに基づく成果発揮状況や行動・マインドを評価・サーベイ等によって把握することで当社全体における価値共創を推進していきます。「人財価値」は、どのような状況であっても着実な成果・貢献に繋がる再現性・汎用性の視点(意志・意欲、学習力、革新・創造力、影響力、折衝力、育成力)で構成し、ステージごとに求めるレベルを設定しています。

ガバナンス

当社グループは、環境や社会課題への対応などサステナビリティに対する具体的な取り組み方針を、業務執行の最高意思決定機関であるグループ経営会議で審議・承認しています。グループ経営会議で承認された事項は、代表執行役社長の諮問機関であるサステナビリティ委員会で全事業会社に共有されます。併せて、サステナビリティ委員会では、各事業会社の実行計画および進捗モニタリングを行っており、グループ全体の取り組みの実効性を高めています。

リンク:サステナビリティ委員会の設置

リスク管理

今後、労働人口の減少による働き手の不足や人財の流動性の高まりにより、人財獲得競争が益々激化し、人財流出の増加や優秀な人財の獲得が困難となる場合、業績への影響のみならず、当社が2030年に目指す姿「価値共創リテーラーグループ」への進化に影響を及ぼす可能性があります。当社は、人財戦略として、変革リーダーの育成、従業員による自発的な学びの支援、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進などに取り組むことにより、従業員が成長と働きがいを実感できる環境を整えていきます。またすべての従業員が心身ともに健康でいきいきと働くことができるよう、従業員一人ひとりに寄り添いながら、働きやすい職場環境づくりを進めていきます。

リンク:リスクマネジメント

戦略

当社は、人財マネジメントポリシーを軸に、従業員一人ひとりの力を最大化する取り組みによってこれをグループ全体の力につなげるとともに、経営戦略に対応した人的リソースの強化と再配分を通じて人財ポートフォリオの転換を図ることで、価値共創リテーラーの実現を目指します。

(1) 価値共創力の強化

現状の不透明な経営環境の中、当社が飛躍・成長を実現していくためには、全社で「価値共創力」を高めていくことが必要であると考えています。
「価値共創力」とは、これまで当社が主たる評価軸としてきた、スキル・知識に基づく成果発揮だけではなく、多様なステークホルダーと協働し、新たな価値を共創するために必要な行動・マインドも併せ持つ力であると定義しています。さらに具体的な能力要件、コンピテンシー、評価方法などは人財マネジメントポリシーである「巻き込むチカラを、面白がるココロを。」に沿ったものを整備していきます。
その一例として、CVC・ファンドを通じた外部研修型出向、デジタルコア人財育成、企業風土醸成企画「RED」といった取り組みの規模を拡大し、転換期における価値共創事例の創発を促進することにより、将来の飛躍を確かなものとするための基盤を創りあげます。

人財への投資

当社は、一律に底上げをはかるものは効率化し、選抜型、公募型のカリキュラムに重点的に投資します。特に、①若年層の早期育成と選抜、②セカンドキャリアを迎えるミドル・シニア層のリスキリングによる再活性化、③経営人財の育成、に重点的に取り組みます。

リンク:従業員のキャリア形成の支援

従業員の挑戦・Willの実践を促す施策 – RED –

当社グループは、従業員の「これがやりたい!」という熱い想いを表明する場を提供し、その想いを経営層やグループ内従業員が共にサポートしながら実現していく取り組みを行っています。火種よりも強い、真っ赤な炎やマグマを持つ人のための場、その熱い想いを実現させる場を表現する「RED(赤色)」と「熱量あふれる夢を実現する“Realize Energetic Dream”」の頭文字をとり、「RED」と名付けました。2023年のスタート後、従業員がこの仕組みを使って、自らの想いを実現すべく、挑戦を続けています。

(2) マネジメント変革

従来型の階層別研修を継続しながら、評価スキル・フィードバックスキル向上および意識変革に取り組みます。また、効果的なマネジメントを実施するための適正なマネジメント範囲を検証し、必要な是正を行います。

(3) グループ人財交流

百貨店、SC、デベロッパー、決済・金融事業など多様なグループ企業を持つ当社の特色を生かし、グループ公募も含めた人財交流を積極的に行っています。今後、ビジネスモデルや社風の異なるグループ会社の人財交流をさらに活性化し、人的ネットワーク・ノウハウの融合やグループ最適・シナジー発揮につなげるための仕組みやルールを整備していきます。

社内環境整備

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン

当社は、多様な個性を取り入れ、組織の力に変換していくことが持続的な成長の実現につながると考えています。そのために、年齢・性別・働き方などから生じるアンコンシャス・バイアスを払拭し、若手の抜擢登用からミドル・シニア層の活性化まで人財の特性や志向性にあった登用・役割付与を実現していきます。全ての従業員がその特性を活かして活躍できる環境を整えていきます。

リンク:女性の活躍推進

    障がい者雇用

    シニアの活躍推進

    LGBTへの取り組み

人財の確保と定着

当社が「価値共創リテーラーグループ」へ進化を遂げるためには、3つの共創価値を創り出せる人財の確保・拡充が欠かせません。これに向けて当社は、人事体制の強化とアルムナイ・リファラルなどの採用ルートの拡大を行い、採用力の向上をはかっていきます。
特に、採用ターゲットとして、新卒・若手人財に加え、高い専門性を持つ不動産・金融・財務等の人財を積極的に採用していきます。また、リテール事業においては、顧客ニーズをくみ取り新たなコンテンツやサービスを創造できる人財、デジタルトランスフォーメーションを牽引するデジタル人財を中心に採用を進めていきます。
また、これと並行して賃金政策や職場環境整備にも取り組み、人財の定着支援を行います。

新卒採用者(連結)

新卒採用者

2021年

2022年

2023年

2024年

合計

68

107

92

102

33

38

34

41

35

69

58

61

※各年4月入社

離職率(連結)

離職率

2021年

2022年

2023年

2024年

社員の離職率

10.5%

5.3%

5.4%

4.6%

育児・介護離職率

1.4%

1.8%

2.0%

2.3%

※年度内の退職社員数/期初社員数(退職事由が定年・転籍・役員就任の者は退職社員数から除く)

心と身体の健康増進

従業員がエネルギー高く挑戦し続けるには、心と身体が健康であることが前提です。定期的にサーベイを行い、その結果を経営層・部門・従業員それぞれと共有し、改善につながるアクションを立案・実行するPDCAサイクルを丁寧に回していくことを通じて、従業員の創造性・生産性の高いアウトプットを支えていきます。

リンク:健康経営の推進

従業員エンゲージメント

当社では、従業員の仕事へのモチベーションや会社へのエンゲージメントを把握する調査を実施しています。2023年度からはグループ全社統一の調査を実施しました。調査結果は、従業員一人ひとりが能力を発揮し活躍することができる会社づくりに活用していきます。(2024年度:従業員満足度68.9%、勤務推奨度59.9%)

人事体制の強化

従業員一人ひとりが持てる力を最大限に発揮するためには、人事部門の役割がこれまで以上に重要となります。採用・配置・育成・評価などの現場課題にスピーディーかつ適切に対応するべく、人事部門の専門性を高めるとともに、業務の効率化を進めます。また、経営層や事業部門責任者のビジネス・パートナーとして貢献できる体制づくりに取り組みます。

指標と目標

指標 2024年度実績 2026年度目標
女性管理職比率

26.2%

31%

男女
賃金差異
全労働者

66.5%

キャリア開発や女性およびマネジメント向け研修など、キャリアロスを防ぐための取り組みを強化し、差異を縮小させていく

正規雇用労働者

75.0%

非正規雇用労働者

75.5%

男性育児休職取得率

132.5%

95%

「専任社員」の新設

大丸松坂屋百貨店およびDMSA(大丸松坂屋セールスアソシエイツ)のパートナー(有期契約社員)の一層の戦力化と、より安定的な雇用区分として、単なる雇用期間の無期化にとどまらず、労働諸条件の一部を引き上げた「専任社員」を新設しました。

具体的な労働諸条件の引き上げ内容としては、これまで適用していなかった休業扶助※1および欠勤控除※2について、社員と同条件に改善をしました。2017年6月の制度導入と同時に、パートナー約1,800人のうち条件を満たしていた約1,600人が一斉に無期転換しました。

※1 社員が私傷病により休職となった期間について、日額の80%が支給される。
※2 社員が欠勤した場合日額の60%が支給される。産前産後休業期間中もこれが適用される。

多様な人財を輝かせる