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TCFD提言に沿った情報開示

Information Disclosure in Line with TCFD Recommendations

JFRグループは、2019年、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の最終報告書(TCFD提言)に賛同しました。TCFD提言は、世界共通の比較可能な気候関連情報開示の枠組みであり、企業に対し、4つの項目「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」に沿って開示することを推奨しています。
当社グループは、TCFD提言を気候変動対応の適切さを検証するガイドラインとして活用するとともに、機関投資家等との積極的な対話を実施し、効果的な情報開示を行っていきます。

TCFD提言が企業に求める4つの開示推奨項目

基礎項目

概要

具体的な開示内容

ガバナンス

気候関連リスク・機会に関する組織のガバナンス

●取締役会が気候関連課題について報告を受けるプロセス、議題として取り上げる頻度、監視対象
●経営者の気候関連課題に対する責任、報告を受けるプロセス、モニタリング方法

リスク管理

気候関連リスク・機会の特定・評価・管理のプロセス

●気候関連リスク・機会の特定・評価プロセスの詳細
●重要な気候関連リスクの管理プロセスの詳細
●全社リスク管理の仕組みへの統合状況

戦略

組織の気候関連リスク・機会とそれによる事業・戦略・財務への影響

●短期・中期・長期のリスク・機会の詳細
●リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度
●関連するシナリオに基づくリスク・機会および財務影響とそれに対する戦略・レジリエンス

指標と目標

気候関連リスク・機会の評価・管理に用いる指標と目標

●気候関連リスク・機会の管理に用いる指標
●温室効果ガス排出量(Scope1・2・3)
●気候関連リスク・機会の管理に用いる目標および実績

(出所)気候関連財務情報開示タスクフォース、「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言(最終版)」、2017年

開示推奨項目① ガバナンス

(a) 取締役会が気候関連課題について報告を受けるプロセス、議題として取り上げる頻度、監視対象

当社は、サステナビリティ経営をグループ全社で横 断的に推進するため、気候関連課題への対応、また課題 解決につながる取り組みを事業戦略に反映しています。 そして、それらについて、業務執行の最高意思決定機関 であるグループ経営会議で審議・承認しています。また、年2回以上開催されるサステナビリティ委員会において、 グループ経営会議で承認された内容を共有し、当社グ ループの環境関連課題に対する実行計画の策定と進捗 モニタリングを行っています。
取締役会は、グループ経営会議およびサステナビリティ 委員会で審議・承認された内容の報告を受け、当社グルー プの環境関連課題への対応方針、目標設定、実行計画 等についての論議・監督を行っています。

取締役のスキルマトリックス

当社は、取締役候補者の選任にあたり、取締役に期待する専門性および経験等についてスキルマトリックスで明確にしており、その項目の一つに「環境」を掲げています。事業活動を通じた環境関連課題の解決に向けた中長期目標を含む環境計画に対し、具体的な行動計画や定期的なレビュー、継続的改善の取り組み状況を適切に監督できる取締役を選任することで、環境関連課題に対する取り組みの実効性を高めています。

※スキルマトリックス

JFRグループ 環境マネジメント体制図

(b) 経営者の気候関連課題に対する責任、報告を受けるプロセス、モニタリング方法

代表執行役社長は、グループ経営会議の長を担うと 同時に、直轄の諮問委員会であるリスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会の委員長も担っており、 気候関連を含む環境関連課題に係る経営判断の最終責任を負っていますグループ経営会議およびサステナビリティ委員会で審議・承認された内容は、最終的に取締役会へ報告されています。

非財務指標を取り入れた役員報酬制度

役員報酬制度における業績連動株式報酬を決定する非財務指標の一つとして、2021年度から「Scope1・2排出量削減率」を設定しています。これらは、中期経営計画のKPIとも連動しており、気候関連課題に対する目標達成に向けた執行役の責任を明確化するとともに、サステナビリティ経営を実現・推進するためのインセンティブとして機能するようにしています。

※役員報酬制度

JFRグループの環境マネジメントにおける会議体および実行主体と役割

会議体および実行主体

役割

会議体

取締役会

業務執行において審議・承認された環境関連課題に関する目標設定および取り組みの進捗の監督を行う。毎月開催。

グループ経営会議

業務執行の最高意思決定機関として、全社的な経営に係る方針や施策について審議・承認する。リスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会で論議された環境関連課題を含む包括的なリスク・機会に対する全社的な経営方針等についても審議・承認を行い、承認事項は取締役会へ報告される。毎週開催。

リスクマネジメント委員会

包括的なリスク・機会の特定、評価および対応策等について、審議を行うとともに、事業会社のリスク対応のモニタリングを実施する。気候関連のリスク・機会についても、全社リスク管理の仕組みへ統合し、本委員会で他のリスクと合わせて管理する。委員会での審議内容は取締役会へ報告される。年3回開催。

サステナビリティ委員会

グループ経営会議で審議・承認された環境関連課題を含むサステナビリティに係るより詳細な課題への具体的な対応策を協議する。気候関連についてはリスク・機会を踏まえた長期計画とKGI/KPIに基づく各事業会社の進捗状況のモニタリング等を実施する。また、気候関連に精通した有識者との対話も行う。協議内容は取締役会へ報告される。年2回以上開催。

実行主体

代表執行役社長

グループ経営会議の長を担うと同時に、リスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会の委員長を担う。気候関連のリスク・機会の特定・評価・対応、環境関連課題解決に向けたグループ全体の取り組み推進など、環境関連課題に係る経営判断の最終責任を負う。

事業会社

経営会議での承認事項、リスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会での審議内容を受け、各事業会社における環境関連課題への具体的施策を計画・実行するとともに、その進捗状況をJFRのリスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会へ報告する。

経営企画部 サステナビリティ推進担当

サステナビリティ経営を推進するためのグループ方針等について立案・提案を行う。気候関連については、リスクおよび機会に関する情報を収集するとともに、中・長期的な取り組みの方向性等を立案し、グループ経営会議やサステナビリティ委員会へ報告する。

開示推奨項目② リスク管理

(a)気候関連リスク・機会の特定・評価プロセスの詳細

当社は、リスクを戦略の起点と位置づけ、「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しており、企業が適切に対応することで、持続的な成長につながると考えています。
気候関連リスク・機会に関しても、自社の事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、プラスとマイナスの両面から以下のプロセスで特定・評価を行っています。
はじめに、バリューチェーンプロセスの活動項目である「商品調達「」輸送・配送「」店舗販売「」商品、サービスの利用」「廃棄」の活動項目ごとに、気候関連リスク・機会を特定します。次に、その中から「自社にとっての重要性(影響度×緊急度)」と、「ステークホルダーにとっての重要性」の2つの基準に基づき評価しています。

JFRグループ リスク管理プロセス

(b) 重要な気候関連リスクの管理プロセスの詳細

当社は、環境課題に係るリスクについて、サステナビリティ委員会の中でより詳細に検討を行い、各事業会社と共有化を図っています。各事業会社では、気候変動の取り組みを実行計画に落とし込み、各事業会社社長を長とする会議の中で論議しながら実行計画の進捗確認を行っています。その内容について、グループ経営会議やリスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会において、進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っています。

JFRグループ リスク管理体制

リスク管理プロセス

担当する会議体および実行主体

リスクの特定・評価

・取締役会
・グループ経営会議
・リスクマネジメント委員会(経営に係るリスク全般が対象)
・サステナビリティ委員会(環境課題に係るリスクが対象)

リスク対応

・各事業会社

モニタリング・報告

・取締役会
・グループ経営会議
・リスクマネジメント委員会(経営に係るリスク全般が対象)
・サステナビリティ委員会(環境課題に係るリスクが対象)

(c) 全社リスク管理の仕組みへの統合状況

当社は、リスク管理が経営上極めて重要であるとの認識から、気候関連を含む各種リスクを全社統合的に管理するため、リスクマネジメント委員会を設置しています。同委員会は、リスクの特定・評価および戦略に反映させるリスクの決定等の重要事項を審議し、経営の意思決定に活用しています。また、リスクを戦略の起点と位置づけ、リスクと戦略を連動させることにより、リスクマネジメントを企業価値向上につなげるよう努めています。
中期的に当社のグループ経営において極めて重要度が高いものは、「重要リスク」と位置づけ、中期経営計画の起点としています。また、年度ごとに対応するリスクを明確にするため重要リスクを「年度リスク」に落とし込み、優先度をつけて対応策を実行しています。
リスクマネジメント委員会での審議内容は、グループ経営会議に報告されるとともに、サステナビリティ委員会に共有されます。
なお、上記プロセスにおけるリスクマネジメント委員会、サステナビリティ委員会での審議内容、グループ経営会議での承認事項については、それぞれ適時取締役会に報告しており、取締役会による監督体制の下、当社グループの戦略に反映し、対応しています。

リスクマネジメントプロセス(PDCA)

開示推奨項目③ 戦略

(a) 短期・中期・長期のリスク・機会の詳細

当社は、気候関連リスク・機会は、長期間にわたり自社の事業活動に影響を与える可能性があるため、適切なマイルストーンにおいて検討することが重要であると考えています。それを踏まえ、当社は、中期経営計画の実行期間である2026年度までを短期、SBTにおける短期目標年度である2030年度までを中期、SBTネットゼロ目標年度である2050年度までを長期と位置づけました。
当社は、気候関連リスク・機会に対し、ネットゼロを実現する2050年までを見据えたバックキャスティングにより、当社グループの戦略を策定し、対応しています。

JFRグループにおける気候関連リスク・機会の検討期間の定義

気候関連リスク・機会の検討期間

JFRグループの定義

短期

2026年度まで

中期経営計画の実行期間

中期

2030年度まで

SBTにおける短期目標年度までの期間

長期

2050年度まで

SBTネットゼロ目標年度までの期間

(b) リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度

当社は、気候変動が当社グループに与えるリスク・機会とそのインパクトの把握、および2030年度時点の世界を想定した当社グループの戦略のレジリエンス、そしてさらなる施策の必要性の検討を目的に、シナリオ分析を実施しています。
シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、パリ協定の目標である「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2°Cより十分低く保ち、1.5°Cに抑える努力をすること」を想定した1.5°C/2°C未満シナリオ、および新たな気候関連政策・規制は導入されない世界を想定した4°Cシナリオの2つの世界を想定しています。
この2つのシナリオを踏まえ、百貨店やショッピングセンターなどのリテール事業を主軸とする当社グループは、バリューチェーン・プロセスの活動項目ごとに、TCFD提言に沿って、気候関連リスク・機会を抽出しました。その上で、気候変動がもたらす移行リスク(政策規制、技術、市場、評判)や物理リスク(急性、慢性)、また、気候変動への適切な対応による機会(資源効率、エネルギー源、製品およびサービス、市場、レジリエンス)を特定しました。

参照した既存シナリオ

想定される世界

既存シナリオ

1.5℃/2℃未満シナリオ

「Net‐Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」(IEA、2023年)

「Representative Concentration Pathways(RCP2.6)」(IPCC、2014年)

4℃シナリオ

「Stated Policy Scenario(STEPS)」(IEA、2023年)

「Representative Concentration Pathways(RCP8.5)」(IPCC、2014年)

(c) 関連するシナリオに基づくリスク・機会および財務影響とそれに対する戦略・レジリエンス

当社は、特定した気候関連リスク・機会の中から、「自社にとっての重要性(影響度×緊急度)」と、「ステークホルダーにとっての重要性」の2つの基準に基づき、その重要性を評価しました。特に重要性が高いと評価した項目について、2030年度を想定した1.5°C/2°C未満シナリオ、および4°Cシナリオの2つのシナリオにおける財務影響を定量、定性の両側面から評価し、それぞれの対応策を策定しました。なお、財務影響を定量的に評価するための情報が入手困難なリスク・機会については、定性的に評価し、その結果を矢印の傾きによって3段階で表示しています。

JFRグループにとって特に重要な気候関連リスク・機会、および2030年度の財務影響

矢印

JFRグループの事業および財務への影響が非常に大きくなることが想定される

矢印

JFRグループの事業および財務への影響が大きくなることが想定される

矢印

JFRグループの事業および財務への影響が軽微であることが想定される

気候関連
リスク・機会の
種類

発現時期

JFRグループにとって特に重要な気候関連リスク・機会

財務影響

対応策

短期

中期

長期

1.5℃/2℃未満シナリオ

4℃シナリオ

リスク

移行リスク

・炭素税の導入に伴うコストの増加

約15億円※1

約13億円※1

●2050年ネットゼロ目標達成に向けた店舗における積極的な省エネ施策や再エネ切り替え拡大による温室効果ガス排出量削減

・環境性能の高い物件の開発と設備導入に係るコストの増加

矢印

矢印

●グリーンボンド等を活用した資金調達
●コスト効率的な設備導入

・高効率省エネルギー機器導入に係る投資の増加

矢印

矢印

●インターナルカーボンプライシングの導入
●コスト効率的かつ計画的な投資の検討

・再エネ由来電力需要増による再エネ調達コストの増加

約7億円※2

約3億円※2

●インターナルカーボンプライシングの導入
●再エネ調達手法の分散化による再エネ調達リスクの低減と中長期的なコストの低減
●自社施設への再エネ設備導入等、再エネ自給率の向上

物理リスク

・自然災害による店舗休業に伴う収益の減少

約52億円※3

約103億円※3

●BCP整備による店舗・事業所のレジリエンス強化
●店舗の防災性能の向上

機会

エネルギー源

・高効率省エネルギー機器導入によるエネルギー調達コストの減少

約4億円※4

●高効率省エネルギー機器への適切なタイミングでの更新

製品
および
サービス

・環境配慮型商品・サービスの需要増への対応によるバリューチェーン全体の脱炭素化および収益の拡大

矢印

矢印

●環境配慮型商品・サービスの取扱い拡大
●廃食油を国産SAFとして再資源化
●AI需要予測システムの活用による食品廃棄物削減等、お取引先様との協働による取り組み
●お取引先様への温室効果ガス排出量算定に関する働きかけ、Scope3排出量データの連携を目的とした説明会の実施等、脱炭素化に向けたお取引先様との対話

市場

・サーキュラー型ビジネスへの新規参入による新たな成長機会の拡大
・サステナブルなライフスタイルを提案することによる新規顧客の獲得に 伴う収益の拡大

矢印

矢印

●ファッションサブスクリプション事業「アナザーアドレス」をはじめとしたシェアリング・アップサイクル等サーキュラー型ビジネスの拡大
●M&AやCVC※投資を有効活用したサーキュラー型ビジネスの立ち上げ

・環境価値の高い店舗への転換による新たなテナントの獲得機会増に伴う収益の拡大

約25億円※5

●新規開発物件の環境認証の取得(ZEB、CASBEE等)
●RE100実現に向けた店舗の再エネ化の促進

※CVC(Corporate Venture Capital):将来性のあるスタートアップ企業への投資を通じて、事業共創を効率的・効果的に推進する仕組み。当社は、2022年度、「JFR MIRAI CREATORS Fund」を設立し、オープンイノベーションを推進。

〈2030年度時点を想定した定量的財務影響の算出根拠〉
※1 2030年度時点のJFRグループScope1・2温室効果ガス排出量に1t-CO2あたりの炭素価格を乗じて試算(パラメータ:1.5°Cシナリオ 140$/t-CO2、4°Cシナリオ 120$/t-CO2)
※2 2030年度時点のJFRグループ電気使用量に通常の電気料金と比較した1kWhあたりの再エネ由来電気料金価格高を乗じて試算
※3 過去の自然災害による店舗休業に伴う売上損失額に将来の洪水発生頻度を乗じて試算(出典:「Representative Concentration Pathways(RCP2.6)(RCP8.5)」(IPCC、2014年))
※4 2030年度時点のJFRグループ省エネルギー量にエネルギー調達コストを乗じて試算
※5 2030年度時点のJFRグループ不動産収益に環境認証取得ビルの新規成約賃料への影響度合いを乗じて試算

上記シナリオを前提に気候変動がもたらす影響を分析し、その対応策を検討した結果、いずれのシナリオ下においても、当社グループが既に実施している施策および計画している施策が、 リスクを低減し、機会の実現に貢献できる実効性、柔軟性を有していることを確認しました。今後も経営のレジリエンスを高めることにつなげていきます。

JFRグループ 2050年ネットゼロ移行計画

※2024年5月末時点の計画であり、今後の事業戦略に応じて修正する可能性があります。

当社は、2050年ネットゼロの実現に向け、中長期視点から戦略を強化していく必要があると考えています。そのため、当社は、2050年ネットゼロ実現に向けた移行計画を策定しました。同計画では、事業戦略において、マイナスのリスクに対しては適切な回避策を策定する一方、プラスの機会に対しては、マーケット変化へ積極的に対応する等、新たな成長機会の獲得を目指すため、短期・中期・長期的視点から、具体的取り組みを明確化しています。
2024年2月には、インターナルカーボンプライシング(ICP)を設定しました。社内におけるCO2排出量を金額換算することにより、CO2に対する削減効果と削減コストを可視化し、脱炭素への意識醸成や脱炭素投資と連動した意思決定の促進を目的としています。将来の炭素税等の発生コストを見通して先手で対策を講じて取り組むことは、長期視点ではコスト減、また事業創出の機会にもつながると考えています。
また、当社のScope3排出量における90%以上は、カテゴリ1(調達した製品・サービス)が占めています。Scope3排出量の削減は、自社努力による削減、自社コントロールが極めて難しく、バリューチェーン全体で協働して削減に取り組むことが必要となります。当社は、お取引先様に温室効果ガス排出量の算定を働きかけるとともに、既に算定済のお取引先様とは削減目標の設定を依頼するなど、対話を通じて段階的に取り組みを進めていきます。

開示推奨項目④ 指標と目標

(a) 気候関連リスク・機会の管理に用いる指標

当社は、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、Scope1・2・3排出量、および事業活動で使用する電力に占める再エネ比率の2つの指標を定めています。
また、役員報酬制度における業績連動株式報酬を決定する非財務指標の一つとして、Scope1・2排出量削減率目標を設定し、気候関連課題に対する執行役の責任を明確化しています。

役員報酬制度

(b) 温室効果ガス排出量( Scope1・2・3)

当社は、2017年度から、グループ全体の温室効果ガス排出量の算定に取り組んでいます。当社グループの2023年度Scope1・2排出量は、82,757t-CO2(2017年度比57.4%削減)、Scope3排出量は、2,898,436t-CO2(2017年度比1.0%削減)となりました。また、再エネ比率は52.9%となりました。
なお、2023年度のScope1・2・3排出量および再エネ電力使用量は、第三者保証を取得しています。


JFRグループ Scope1・2・3排出量実績※1(単位:t-CO2

2017年度

2022年度

2023年度

実績

実績

実績

2017年度比(基準年度比)

Scope1・2排出量 合計

194,154

109,785

82,757

▲57.4%

内訳

Scope1排出量

16,052

13,714

14,021

▲12.7%

Scope2排出量

178,102

96,071

68,736

▲61.4%

Scope3排出量※2

2,927,320

2,761,669

2,898,436

▲1.0%

再エネ比率(%)

33.6

52.9

※1 LRQAリミテッドによる第三者保証を取得
※2 「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインVer.2.6(2024年3月 環境省 経済産業省)」・「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer.3.4(2024年3月)」・IDEAv2.3(サプライチェーン温室効果ガス排出量算定用)に基づき算出



(c) 気候関連リスク・機会の管理に用いる目標および実績

当社は、世界全体の1.5°C目標達成のため、2018年に長期的な温室効果ガス排出量削減目標を設定し、2019年にScope1・2・3排出量削減目標についてSBTイニシアチブによる認定を取得しました。2021年には、2030年のScope1・2排出量削減目標を従来の40%から60%削減(基準年2017年度比)に引き上げ、「1.5°C目標」としてSBT認定を再取得しました。そして、2023年2月には、Scope1・2・3排出量について、2050年までの「ネットゼロ目標」の認定を取得しました。
これらの長期目標達成のため、当社グループは、2019年度から、自社施設における再エネ由来電力の調達を開始し、2020年10月に「RE100」に加盟し、2050年までに、事業活動で使用する電力に占める再エネ比率100%を目指します。また、その中間目標として、2030年までに、事業活動で使用する電力に占める再エネ比率60%を目指します。
今後も、2050年までのネットゼロの実現に向け、再エネ由来電力の調達拡大に取り組みます。

※事業活動で使用する電力を2050年までに100%再エネにすることを目標とする国際的イニシアチブ

JFRグループの気候関連リスク・機会の管理に用いる目標

指標

目標年度

目標内容

温室効果ガス排出量

2050年

Scope1・2・3温室効果ガス排出量 ネットゼロ

2030年

Scope1・2温室効果ガス排出量を60%削減(2017年度比)※1
Scope3温室効果ガス排出量40%削減を目指す(2017年度比)※1

事業活動で使用する電力に占める再エネ比率

2050年

再エネ比率100%※2

2030年

再エネ比率60%

※1 SBT認定取得
※2 2020年 RE100に加盟

2023年度実績と今後の目標

Scope 1・2排出量
Scope3排出量

2023年度 Scope3カテゴリ別排出量 (単位 : t-CO2、%)

カテゴリ

排出量

排出割合

1

調達した製品・サービス

2,678,726

92.42

2

資本財

48,021

1.66

3

Scope1・2を除くエネルギー

19,399

0.67

4

輸送・配送(上流)

3,204

0.11

5

事業から出る廃棄物

1,439

0.05

6

従業員の出張

3,815

0.13

7

従業員の通勤

1,736

0.06

8

リース資産(上流)

0.00

9

輸送・配送(下流)

38,196

1.32

10

製品の加工

0.00

11

販売した製品の使用

59,221

2.04

12

販売した製品の廃棄

15,564

0.54

13

リース資産(下流)

29,115

1.00

14

フランチャイズ

0.00

15

投資

0.00

※カテゴリ8はScope1・2で算定しているため算定除外
※カテゴリ10、14、15はJFRグループの事業プロセスに該当しないため算定除外

再エネ比率

今後も、当社は、取締役会による監督体制のもと、環境マネジメントにおけるガバナンスの強化や、中長期の目標達成に向けた実行計画の立案・推進等、全社的な取り組みを進めて いきます。

環境と共に生きる社会をつくる