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2050年ネットゼロを目指して

Aiming to Achieve Net Zero by 2050

ネットゼロに向けた取り組みの方向性

当社グループは、2050年ネットゼロ※1実現に向けて、「温室効果ガス排出量削減」と「サーキュラー・エコノミーの推進」の両輪で取り組みます。具体的には、店舗での省エネの徹底や再生可能エネルギー(以下「再エネ」という。)切り替え拡大等によるScope 1・2温室効果ガス排出量(以下「Scope1・2排出量」という。)削減、お取引先様やお客様との協働によるScope3温室効果ガス排出量(以下「Scope3排出量」という。)削減に取り組むとともに、3R※2強化やサーキュラー型ビジネスの拡大等を通じた資源循環を推進します。

≪JFRグループ 2050年ネットゼロ≫ 【温室効果ガス排出量削減】再生可能エネルギー拡大によるScope1・2削減、お取引先様との協働によるScope3削減 【サーキュラー・エコノミーの推進】廃棄物削減、再資源化、サーキュラー型ビジネスモデルの拡大

目標設定

当社はグループ全体で気候変動対策を推進するためには、中長期の野心的な温室効果ガス排出量の削減目標設定とその達成に向けたロードマップの策定が必要だと考えています。この考えに基づき、2019年に、Scope1・2・3排出量削減目標において、SBT (Science Based Targets) イニシアチブ※3による認定を取得しました。2021年には、2030年のScope1・2排出量削減目標を従来の40%から60%削減(基準年 2017年度比)に引き上げ、「1.5℃目標」としてSBT認定を再取得しました。さらに2023年2月には、Scope1・2・3排出量について、2050年までの「ネットゼロ目標」のSBT認定を取得しました。
なお、Scope1・2排出量の2030年目標「60%削減」については、2025年2月末時点において前倒しで達成しました(65.4%削減)。
そのため、2030年目標を「73%削減」に引き上げました。今後、さらに取り組みを進めていきます。

※1 温室効果ガス排出量を徹底して削減し、残りの排出量について、森林吸収やCCS (CO2の回収・貯留)等による除去量を差し引いて実質ゼロにすること

※2 Reduce (リデュース)、Reuse (リユース)、Recycle (リサイクル)の3つのRの総称

※3 企業が最新の気候科学に沿った野心的な排出削減目標の設定を可能にすることを目的として、2014年、CDP、国連グローバル・コンパクト、WRI (世界資源研究所)、WWF (世界自然保護基金)の4団体が共同で設立

2030年:Scope1・2排出量60%削減(2017年度比) → 目標引き上げ 73%削減、Scope3排出量40%削減(2017年度比) 2050年:Scope1・2・3排出量ネットゼロ

JFRグループ2050年ネットゼロ移行計画

当社は、2050年ネットゼロの実現に向け、中長期視点で取り組む必要があるとの認識に基づき、2050年までの移行計画を策定しています。気候関連リスク・機会の分析結果、およびそれらによる財務影響を踏まえ、リスクに対しては適切な対応策を講じ、また機会に対しては、顧客ニーズの変化に積極的に対応することで新たな成長機会の獲得を目指す等、短期・中期・長期視点で、具体的な取り組みを推進していきます。なお、移行計画に、投資や資金計画、また当年度の取り組み実績を合わせて明示することで、それぞれの関係性を明確にし、計画の実効性をより高めていきます。

再エネ電力を拡大しサステナブルな店舗へ

百貨店やショッピングセンターなどリテール事業を主軸とする当社グループにおいて、Scope1・2排出量の90%以上が店舗からの排出であり、そのうちおよそ80%が電力使用に伴う排出です。よって、店舗で使用する電力について、省エネ化およびエネルギー効率の向上を図るとともに、再エネへの切り替えが必要であると認識しています。
2019年に100%再エネで運営する店舗としてオープンした大丸心斎橋店を皮切りに、関西・関東・中部地区の店舗を順次再エネに切り替え、2024年4月には、大丸梅田店の再エネ化を実施しました。その結果、2024年度には、再エネ比率67.2%、Scope1・2排出量は基準年とする2017年度比で65.4%削減となりました。なお、Scope1・2排出量削減率および再エネ比率に関して、2025年2月末時点で、2026年および2030年目標(Scope1・2排出量60%削減、再エネ比率60%)を早期に達成したため、より野心的に2030年目標の再設定を行いました。
当社は、再エネ電力で運営する店舗は建物の環境価値を向上させ、環境課題に意識の高いお取引先様やお客様の支持獲得につながると考えており、今後も、再エネ電力への切り替えに取り組んでいきます。

再エネ比率推移

主な再エネ切り替え店舗(2025年2月末現在)

大丸・松坂屋

PARCO

心斎橋店/梅田店/京都店/神戸店/須磨店/名古屋店(北館除く)/上野店/静岡店/高槻店
(15店舗中9店舗)
札幌/仙台(本館除く)/池袋/上野/吉祥寺/調布/静岡/名古屋/心斎橋/広島/福岡/ひばりが丘/松本
(16店舗中13店舗)

再エネ普及への貢献

渋谷PARCOや京都ゼロゲートでは、店舗の屋上に太陽光パネルを設置し、自家発電を行っています。今後は、追加性のある再エネ調達の導入にも取り組み、調達先の多様化に伴うエネルギーレジリエンスの向上をはかります。

※新たな再エネ電源の普及・拡大に寄与し、CO2削減に効果があること

渋谷PARCO屋上に設置されている太陽光パネル

電気自動車(EV)充電スタンドの設置

駐車場を運営する事業会社のエンゼルパークは、お客様が無料で利用できるEVスタンドを計10台設置しています。2023年4月からは、全館で使用する電力を100%再エネに切り替え、電気自動車を利用されるお客様の利便性向上とともに、社会の脱炭素化にも貢献しています。

エンゼルパーク駐車場のEV充電スタンド

省エネの取り組み

公共規制への指示と対応

当社グループでは、気候変動やエネルギー使用量削減などに関する法律や規制(「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」や「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)」)および政策等を支持し、さまざまな省エネに取り組んでいます。

環境に配慮した次世代型ビル—新生渋谷PARCO

2019年11月22日に開業した渋谷PARCOでは、①屋上広場・立体街路などの魅力的な屋外空間の創出 ②コージェネレーションシステム(CGS)を中心とした高効率エネルギーシステムの積極的導入 ③デジタルコミュニケーションによるエネルギーの効率的利用の促進の取り組みが評価され、「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」として国土交通省より採択されました。最新設備機器の導入にとどまらず、エネルギー管理システムを活用した“見える化”により運転効率を高めた省CO2型の複合ビルを実現しています。

※ コージェネレーションシステム(CGS):熱源より電力と熱を生産し供給するシステムの総称

環境に配慮した次世代型ビル
—渋谷PARCO

省エネ効率の高い機器の導入・LED化の推進

当社グループでは、CO2を削減し、地球温暖化を防止するためにさまざまな省エネに取り組んでいます。設備の更新や改装時・新規出店時には省エネ効率の高い機器を順次導入しています。

大丸松坂屋百貨店やパルコでは、既存照明をLED照明へ変更することにより使用電力及びCO2の削減に努めています。2024年度は約13,200台をLED照明に切り替え、累計202,900台をLED化しました。
※2024年度LED化によるCO2排出削減量 : 年間約10,145t-CO2

改装とあわせて天井照明をLED化 (大丸東京店)
調光と調色も同時に行えるLED照明を導入
(松坂屋名古屋店食品フロア「ターブルプリュス」)

社用車のEV化

大丸松坂屋百貨店では、2024年度、7台をEVに切り替え、累計184台(累計49.6%)をEVで運用しています。今後も社用車のEV化を進め、CO2の削減に取り組んでいきます。

また、2011年から、大丸・松坂屋の社用車に、「テレマティクス」(移動体通信システム)を導入しています。「テレマティクス」は、速度超過や、急加速・急減速、燃費など、担当員の運行状況をデータ化するシステムです。安全運行委員会を3ヶ月に一度開催し、「テレマティクス」のデータをもとに、燃費の向上、及びCO2排出量の少ないエコドライブや安全運転の実施に役立てています。

Scope3削減に向けたサプライヤーエンゲージメント

当社のScope3排出量は、その87%以上をカテゴリ1 (調達した製品・サービス)が占めているため、自社努力による削減が難しく、バリューチェーン全体で協働した削減が必要です。
これまで、主要事業会社である大丸松坂屋百貨店では、お取引先様の状況に応じて「排出量の算定」や「削減目標の設定」「排出量に係る一次データ(Scope 1・2およびScope3上流)の提供依頼」など対話を進めてきました。(2024年度までの対話は累計121社、一次データ取得合意は72社)
2024年度はScope1・2排出量およびScope3排出量を算定し、かつ、第三者保証を取得している41社のデータを一次データとして、当社グループの算定に組み入れました。お取引先様の削減努力を反映することができた結果、カテゴリ1の排出量は2023年度比で26.9%減となりました。
また、大丸松坂屋百貨店では、百貨店協会が実施する「百貨店業界におけるサプライチェーンの排出量Scope3カテゴリ1 一次データの活用に関するガイドライン」および「Scope3算定フォーマット」の策定に積極的に参画し、百貨店業界のバリューチェーン全体における脱炭素化に向けた取り組みの牽引に貢献しました。
今後、この取り組みを効率よく、かつ加速させていくために、2025年3月、新たな環境データ算定システムに切り替えました。本システムの活用と、お取引先様との連携を強化することにより、Scope3排出量削減に一層取り組んでいきます。

Scope3カテゴリ1の削減推移

2023年度:2,679万t-CO₂ 2024年度:1,959万t-CO₂(一次データを活用した算定) (産業連関表金額ベースの排出原単位で算定:2,833万t-CO₂) ≪26.9%減 お取引先様の削減努力を反映≫ ※2024年度はScope 1・2およびScope3(上流)を算定し、かつ第三者保証を取得している41社のデータを一次データ化

バリューチェーンに向けたこれまでの取り組み
(大丸松坂屋百貨店)

方針の周知:お取引先様説明会の開催 2019年530社 2022年253社参加 現状の把握:CO₂排出量に関するアンケートの実施継続 算定および削減依頼:直接対話・個社訪問を実施 2024年度までの対話累計121社一次データ取得合意72社

Scope3排出量

2017年度(基準年):293万t-CO₂ 2024年度:225万t-CO₂ 2030年度(目標):176万t-CO₂ [40%削減(2017年度比)]

2024年度 Scope3カテゴリ別排出量(単位:t-CO2、%)

※カテゴリ8はScope1・2で算定しているため算定除外
※カテゴリ10、14、15はJFRグループの事業プロセスに該当しないため算定除外

お取引様説明会の開催

大丸松坂屋百貨店では、店舗や本社オフィスにおける再エネ電力への転換、照明のLED化、社用車のEV化など、Scope1・2排出量の削減に取り組んできました。一方、小売業の特性上、同社のScope1・2の排出量はサプライチェーン全体排出量の約5%に留まり、残りの約95%は、Scope3排出量が占めています。
これを踏まえ、大丸松坂屋百貨店では、2022年4月、主要なお取引先様を対象に「脱炭素社会の実現に向けた取り組みに関する説明会」を実施しました(参加社数253社、300名)。脱炭素社会の実現に向けた同社の取り組みを伝えることで、当社グループの覚悟を示すとともに、Scope3排出量削減にはお取引先様との協働が必須であること、また、お取引先様各社における排出量を可視化することが削減に向けた第一歩になること等を説明しました。
今後は、2050年度ネットゼロに向けて、お取引先様と協働してScope3排出量削減のための具体的施策を検討、実行し、サプライチェーン全体で脱炭素社会の実現に貢献します。

お取引先様説明会の様子

環境と共に生きる社会をつくる