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TCFD提言に沿った情報開示

Information Disclosure in Line with TCFD Recommendations

TCFD提言への賛同

JFRグループは、気候変動問題をサステナビリティ経営上の最重要課題と捉え、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しています。また、2018年、優先して取り組むべき5つのマテリアリティを特定し、その一つである「低炭素社会への貢献」を最重要課題と位置づけています。
当社グループは、2019年5月、金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の最終報告書(TCFD提言)に賛同しました。TCFD提言は、世界共通の比較可能な気候関連情報開示の枠組みであり、気候変動問題を経営課題と捉えていることが大きな特徴の一つです。
当社グループは、「低炭素社会への貢献」に向けた2030年および2050年を見据えた中長期の目標達成のため、TCFD提言を当社の気候変動対応の適切さを検証するガイドラインとして活用し、持続可能な成長に向け、温室効果ガス排出量削減等、全社的な取り組みを進めていきます。

TCFD提言が推奨する情報開示項目

TCFD提言は、投資家等が、気候変動に伴うリスクと機会が、投資先の財務状況にどのような影響を及ぼすかを的確に把握することが適切な投資判断につながるとの考えに基づいています。そして、すべての企業に対し、4つの情報開示項目である「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」に関して、財務報告書において開示することを推奨しています。
当社グループは、TCFD提言へ賛同する企業や金融機関等と協働し、TCFD提言が求める4つの情報開示項目に基づいた情報開示のさらなる拡充に取り組んでいきます。

基礎項目

概要

具体的な開示内容

ガバナンス

気候関連リスク・機会に関する組織のガバナンス

●取締役会による気候関連課題の監視体制
●リスクと機会を評価・管理する上での経営者の役割

リスク管理

気候関連リスクの特定・評価・管理のプロセス

●気候関連リスクの特定・評価プロセスの詳細
●気候関連リスクの管理プロセスの詳細
●全社リスク管理の仕組みへの統合状況

戦略

組織の気候関連リスク・機会とそれによる事業・戦略・財務への影響

●短期・中期・長期のリスクと機会
●リスク・機会が事業、戦略、財務計画におよぼす影響
●関連するシナリオによる影響とそれに対する強靭性

指標と目標

気候関連リスク・機会の評価・管理に用いる指標と目標

●気候関連リスク・機会の管理に用いる指標
●温室効果ガス排出量(Scope1、2、3)
●気候関連リスク・機会の管理に用いる目標および実績

(出所)気候関連財務情報開示タスクフォース、「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言(最終版)」、2017年

開示推奨項目① ガバナンス

環境課題に関するガバナンス

JFRグループは、サステナビリティ経営をグループ全社で横断的に推進するため、2019年度から「サステナビリティ委員会」を設置しています。「サステナビリティ委員会」は、当社グループの環境課題に対する実行計画の策定と進捗モニタリングを行い、取締役会ではその内容について、論議・監督を行っています。
また、当社グループでは、環境課題に関する具体的な取り組み施策について、業務執行の最高意思決定機関である「グループ経営会議」で協議しており、決議事項は取締役会へ報告されます。「グループ経営会議」の長を担う代表執行役社長は、直轄の諮問委員会である「リスクマネジメント委員会」および「サステナビリティ委員会」の委員長も担うことにより、環境課題に係る意思決定の最終責任を負っています。取締役会による監督体制のもと、環境マネジメントにおけるガバナンスの強化を進めています。

環境マネジメント体制図

環境マネジメント体制における会議体および役割

会議体および体制

役割

①取締役会

業務執行において論議・承認された環境課題に関する取り組み施策の進捗を監督。毎月開催。

②グループ経営会議

環境課題に対する具体的な取り組み施策を含む全社的な経営に係る施策について協議。決議事項は取締役会へ報告。毎週開催。

③リスクマネジメント委員会

環境課題を含む包括的なリスクを抽出し、対策を検討。決議事項は取締役会へ報告。都度開催。

④サステナビリティ委員会

グループ経営会議で協議された環境課題への対応方針を決議、共有。環境課題に関する長期計画とKGI/KPIの策定、各事業会社の進捗状況のモニタリングなどを実施。決議事項は取締役会へ報告。半期に一度開催。

⑤ESG推進部

全社的な環境課題への対応を推進。環境関連情報を収集し、グループ経営会議やサステナビリティ委員会、リスクマネジメント委員会へ報告。

開示推奨項目② リスク管理

JFRグループ全体に係るリスク管理

JFRグループは、リスクを「環境変化の中で、組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と定義しています。リスクには、プラス面(機会)、マイナス面(脅威)の両面があり、企業が適切に対応することより、持続的な成長につながると考えています。
また、当社グループは、リスクを戦略の起点と位置づけ、全社的に管理する体制を構築することが重要であると考えています。「リスクマネジメント委員会」では、外部環境分析をもとにリスクを識別・評価し、優先的に対応すべきリスクの絞り込みを行い、当社グループの戦略に反映して対応しています。

環境課題に係るリスク管理

JFRグループは、「リスクマネジメント委員会」で特定したリスクのうち、環境課題に係るリスクについて、「サステナビリティ委員会」の中でより詳細に検討を行い、各事業会社と共有化を図っています。各事業会社では、気候変動の取り組みを実行計画に落とし込み、各事業会社社長を長とする会議の中で論議しながら実行計画の進捗確認を行っています。
その内容について、「グループ経営会議」や「リスクマネジメント委員会」および「サステナビリティ委員会」において、進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っています。

リスク管理プロセス

リスク管理体制

リスク管理プロセス

担当する会議体

リスクの識別・評価・絞込み

グループ経営会議
リスクマネジメント委員会
(経営に係るリスク全般が対象)
サステナビリティ委員会
(環境課題に係るリスクが対象)

リスク対応

各事業会社

モニタリング・報告

グループ経営会議
リスクマネジメント委員会
(経営に係るリスク全般が対象)
サステナビリティ委員会
(環境課題に係るリスクが対象)

気候変動に伴うリスクと機会の特定・評価プロセス

JFRグループは、気候変動に伴うリスクと機会は、当社の事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、下記のプロセスを通じて気候変動に伴うリスクと機会を特定し、その重要性を評価しました。
はじめに、当社グループは、サプライチェーン・プロセスの活動項目である「商品調達」「輸送・顧客の移動」「店舗販売」「商品やサービスの利用」「廃棄」の活動項目ごとに、気候変動に伴うリスクと機会を網羅的に抽出しました。
次に、網羅的に抽出した気候変動に伴うリスクと機会の中から、当社にとって重要なリスクと機会を特定しました。
最後に、特定した気候変動に伴うリスクと機会について、「当社にとっての影響度および発生可能性」と「ステークホルダーにとっての影響度」の2つの評価基準に基づき、その重要性を評価しました。
当社グループは、上記のプロセスを経て特に重要と評価された気候変動に伴うリスクと機会について、当社における企業リスクの一つとしてグループ戦略に反映し対応しています。

開示推奨項目③ 戦略

シナリオ分析

JFRグループは、気候変動が当社グループに与えるリスクと機会、その財務影響を把握するため、シナリオ分析を実施しました。
TCFD提言は、気候変動対策が進んだ場合と、進まなかった場合のいずれの将来にも対応できるよう、複数のシナリオを参照して気候関連のリスクと機会を評価することを求めています。それを踏まえ、当社グループは、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、パリ協定の目標である2℃未満シナリオおよび各国の気候関連の政策目標がすべて達成されることを想定した3℃シナリオの2つの世界を想定しました。
上記の2つのシナリオを前提に、気候変動が当社グループの事業および財務に及ぼす影響を分析し、その対応策を検討し、当社グループの戦略レジリエンスを検証しています。

参照した既存シナリオ

想定される世界

既存シナリオ

1.5〜2℃未満シナリオ

「Below 2 Degree Scenario(B2DS)」(IEA、2017年)

「Sustainable Development Scenario(SDS)」(IEA、2019年)

「Representative Concentration Pathways(RCP2.6)」(IPCC、2014年)

3℃シナリオ

「Stated Policy Scenario(STEPS)」 (IEA、2019年)

「Representative Concentration Pathways(RCP6.0 )」(IPCC、2014年)

2つのシナリオにおけるJFRグループのリスク・機会とそれらに伴う事業および財務への影響

リスク・機会の種類

JFRグループのリスク・機会の概要

事業および財務への影響

1.5〜2℃未満 シナリオ

3℃未満 シナリオ

リスク

移行リスク

政策規制

●炭素税(カーボンプライシング)等、温室効果ガス排出を抑制する政策導入・規制強化に伴う、オペレーションコストの増加
●温室効果ガス排出に関する情報開示義務の拡大と、その対応不備による罰金リスク

矢印

矢印

市場

●環境課題に対する消費行動の多様化や顧客意識の向上に伴う、低炭素製品・サービスの需要増等マーケット変化への対応の遅れによる成長機会の喪失
●気候変動に起因する感染症リスク増加への対応の遅れによる成長機会の喪失

矢印

矢印

物理リスク

急性

●気候変動に起因する自然災害による調達・物流ルート断絶に伴う、製品・サービスの販売機会の喪失
●気候変動に起因する自然災害による店舗・事業所の損害、営業停止
●気候変動に起因する感染症リスク(新型コロナウイルス感染症等)の増加に伴う、店舗での販売機会の喪失

矢印

矢印

機会

エネルギー源

●低炭素エネルギー源の利用によるオペレーションコストの減少
●新規技術の利用に伴う、エネルギー調達コストの減少
●低炭素ビジネスへの参画、エネルギー分散化へのシフト等によるエネルギーレジリエンス
●エネルギー高効率機器導入によるオペレーションコストの減少
●再エネ・省エネ推進に伴う、エネルギー調達リスクの回避

矢印

矢印

市場

●環境課題に対する消費行動の多様化や顧客意識の向上に伴う、小売業の枠を超えた事業ポートフォリオの再構築と、伸長が見込まれる市場への集中による収益力の向上
●気候変動に起因する感染症リスク増加への対応による新たな成長機会の拡大

矢印

矢印

2つのシナリオにおけるJFRグループへの財務影響

JFRグループは、中長期目標達成のため、温室効果ガス排出量削減等、全社的な取り組みを進めています。また、当社グループの温室効果ガス排出量の約80%は、電気の使用によるものです。そのため、温室効果ガス排出量削減の取り組みは、電気の使用に重点を置くことが重要と考えています。
当社グループは、この現状を踏まえ、2030年時点を想定した2つのシナリオにおける財務への影響のうち、特に日本国内における炭素税※の導入および再生可能エネルギー由来の電気料金の変動が、重要なパラメータ(指標)になると考えています。そのため、1.5~2℃未満シナリオおよび3℃シナリオの2つのパラメータについて、当社グループの財務への影響を定量的に試算しています。

※ 気候変動の主な原因である二酸化炭素の排出に課される税

2030年時点を想定したJFRグループへの財務影響

重要なパラメータ(指標)

2030年時点を想定したJFRグループへの財務影響

項目

1.5〜2℃未満 シナリオ

3℃ シナリオ

炭素税

●炭素税価格(千円/t-CO2

10

3.3

●炭素税課税に伴うコスト増(百万円)

1,165

384

再エネ由来の電気料金

●再エネ由来の電気料金の価格増(円/kWh)

1~4

●再エネ由来の電気の調達コスト増(百万円)

164~658

(2030年時点に想定される前提条件)
・ 先進国の炭素税価格:$100/t-CO2(1.5~2℃未満シナリオ)、$33/t-CO2(3℃シナリオ)
・ JFRグループ温室効果ガス排出量:116,492t-CO2(対2017年度比40%削減)
・ 再エネ由来の電気料金:1~4円/kWhの価格高(再エネ以外の電気料金との比較)
・ JFRグループ再エネ由来の電気使用量: 164,450MWh(再エネ比率50%)

開示推奨項目④ 指標と目標

JFRグループの中長期温室効果ガス排出量削減目標

JFRグループは、1.5~2℃未満シナリオの実現に向けた戦略に基づき、2030年および2050年を見据えた中長期温室効果ガス排出量削減目標を設定しています。 また、当社グループの2030年 Scope1・2およびScope3温室効果ガス排出量削減目標は、2019年、SBT(Science Based Targets)イニシアチブの認定を取得しました。
SBTイニシアチブは、産業革命前からの気温上昇の上限を「2℃」とする現在の基準から、「2℃を十分に下回る」または「1.5℃」とする2つの基準を加えて、3段階の基準を設定しています。当社グループが設定した目標は、その認定基準のうち2番目に厳しい「2℃を十分に下回る」目標として認定されています。

目標年度

目標内容

2030年

Scope1・2・3温室効果ガス排出量を40%削減する(2017年度比)※
※SBT認定

2050年

Scope1・2温室効果ガス排出量ゼロ

2019年度 Scope1・2およびScope3温室効果ガス排出量実績

JFRグループの2019年度Scope1・2温室効果ガス排出量は、162,508t-CO2となり、2018年度と比較して11.0%削減となりました。当社グループは、2019年度Scope1・2温室効果ガス排出量削減目標を2018年度と比較して3.9%削減と設定していましたが、大幅に削減目標を上回りました。
また、当社グループの温室効果ガス排出量は、SBTの基準年である2017年度と比較しても16.3%削減となり、SBT達成に向けて順調に推移しています。
当社グループの2019年度Scope3温室効果ガス排出量実績は、3,782,555t-CO2となりました。当社グループは、2019年度から、Scope3温室効果ガス排出量の算定・集計ルールを見直し、算定範囲の網羅性、および算定実績の正確性の精度向上に努めました。その結果、当社グループとして初めて、2019年度Scope3温室効果ガス排出量について、ロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッドによる第三者保証を取得しています。

2019年度 Scope1・2温室効果ガス削減目標および温室効果ガス排出量実績

2019年度

対2018年度比

対2017年度(SBT基準年)比

排出量
(t-CO2

削減量
(t-CO2

削減率
(%)

削減量
(t-CO2

削減率
(%)

目標

Scope1・2合計

174,994

▲7,572

▲3.9

▲14,562

▲7.5

実績(内訳)

Scope1・2合計

162,508※

▲20,058

▲11.0

▲31,646

▲16.3

Scope1

15,214

▲746

▲4.7

▲838

▲0.6

Scope2

147,294

▲19,312

▲11.6

▲30,808

▲17.3

※ロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッドによる第三者保証を取得

2019年度 Scope3温室効果ガス排出量実績

カテゴリ

カテゴリ名

排出量(t-CO2

シェア(%)

1

購入した製品・サービス

2,547,642

67.35

2

資本財

235,642

6.23

3

Scope1・2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動

33,447

0.88

4

輸送、配送(上流)

33,119

0.88

5

事業から出る廃棄物

596

0.02

6

出張

4,456

0.12

7

雇用者の通勤

2,164

0.06

8

リース資産(上流)※1

9

輸送、配送(下流)

792,100

20.94

10

販売した製品の加工※2

11

販売した製品の使用

223

0.01

12

販売した製品の廃棄

67,385

1.78

13

リース資産(下流)

65,781

1.74

14

フランチャイズ※2

15

投資※2

Scope3 合計

3,782,555※3

100.00

※1 Scope1・2温室効果ガス排出量で算定しているため、Scope3算定除外
※2 JFRグループの事業プロセスに該当しないため、Scope3算定除外
※3 ロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッドによる第三者保証を取得

今後の取り組み

JFRグループは、小売業を中核とする企業グループである強みをいかし、気候変動に伴うリスクと機会に対応していくことが重要であると考えています。そのため、当社グループは、2020年10月、「RE100」に加盟し、店舗で使用する電気の再生可能エネルギーへの切り替えに最優先で取り組みます。また、省エネルギーについては、既に実施している高効率機器への切り替えやLED化の拡大等に全社で取り組んでいきます。
その一方で、小売マーケットは、人口減少や高齢化により縮小傾向であることに加えて、所有から共有への「シェアリング・エコノミー」への進展が加速しています。
当社グループは、これらの背景をリスクではなく機会と捉え、
●気候変動に伴う物理リスクへの対応策の強化による強靭なサプライチェーンの実現
●店舗を核としたCSVへの取り組みを通したサステナブルな店づくりの実現による地域社会への貢献
●サーキュラー・エコノミーへの取り組みによる新しいビジネス機会の実現
●消費者の消費行動の変化に対応した低炭素製品・サービスへの積極的対応
等、全社で取り組んでいきます。
今後も、当社グループは、気候変動に伴うリスクと機会について、さらなる定量化を進め、シナリオ分析の精度向上に努めます。当社のグループ戦略や中期経営計画策定において、マイナス面に対しては適切にリスクヘッジする一方、マーケットの変化を見極め、積極的にリスクテイクすることにより、企業の持続的成長につなげていきます。

低炭素社会への貢献

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